2016年4月30日土曜日

同時通訳トレーニングを教室へ:立体構造トランスクリプトの作り方

同時通訳者の方がご自身のトレーニングを紹介してある本に出会ったのは29歳の時、今42歳ですから、13年前になりましょうか。

それ以来、このトレーニングを毎日欠かさずやってきました。同時通訳トレーニングを始めて、自分の英語力向上を体で実感したのは2年後、それ以来、このトレーニングを授業でやれないか、と思い立ち、実際に同時通訳の先生がなさってある勉強会に足繁く通い、そこで頂いた教材をしゃぶり尽くすようにトレーニングし、自分の授業の中でトレーニングを中高生にも使いやすいように改良を加えて、今日に至っています。

その効果は絶大なものです。とても言葉で言い表すことはできませんが、聞く、話す、読む、書くの4技能全てが恐ろしいほどレベルアップします。

そのトレーニングに用いる教材の一つに「立体構造トランククリプト」というものがあります。(詳細は後述します)

その実感を持って、僕は授業で、教科書の英文をバラして、「立体構造トランスクリプト」という形に落として、生徒に配布します。

生徒たちに、英文を視覚的に捉えてもらうこと、英文を立体的に見てもらうことにより、1文ごと、段落ごと、文章ごとに、英語の構造はどうなっているのか、を常に意識してもらい、音読やシャドーイングなど、音声面でのトレーニングをする際に、より体に英文を刷り込みやすくすること、さらには、英語を視覚的に理解していくことを目的にしているからです。

このプリントのことを、「構造表」と僕は読んでいて、生徒たちには、授業中に「構造表を出してください。」と指示を出して、このプリントを使って、説明、音読、シャドーイングなどのトレーニングを行っています。

このプリントを使い始めたのは、「KHシステム」という同時通訳トレーニングに出会ってから。同時通訳者の国井信一先生と橋本敬子先生が開発された、画期的な英文理解ツールで、僕の授業では今は欠かせないアイテムとなっています。

作り始めは試行錯誤の連続でしたが、慣れると1レッスン分はあっという間に作成が可能です。

今年教えている生徒たちが、音読トレーニングノート(毎週音読のトレーニングをノートに記録付けする課題を課していて、毎日取り組むことを生徒に促しています)に、「立体構造トランスクリプト」を使ったトレーニングについてこんなコメントをつけてくれました。


↓こちらに、「立体構造トランククリプト」の作り方のプリントを作ってみました。ご参考になれば幸いです。
https://www.dropbox.com/s/dbh3bx9iu4542n2/%E7%AB%8B%E4%BD%93%E6%A7%8B%E9%80%A0%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%97%E3%83%88%E3%81%AE%E4%BD%9C%E3%82%8A%E6%96%B9.pdf?dl=0


2016年4月29日金曜日

2016年4月28日木曜日

同時通訳トレーニングを中高生の授業でやる実践

僕は29歳の時、同時通訳者である国井信一先生と橋本敬子先生の著作である「KHシステム」を通して、同時通訳の方の英語トレーニングメソッドを学びました。その後、実際に国井先生と橋本先生が主催されるセミナーに参加し、鍛えて頂いて、飛躍的に自分の英語力アップを実感する、という貴重な経験をさせて頂きました。

その後、30代の10年間と、+4年間、自分でそのメソッドを徹底的に応用し、毎日同時通訳TRをしながら過ごしました。「英語を英語のまま理解する」回路は、これらのトレーニングを通して身について行ったと実感しています。

授業の中でその方法論を取り入れ、生徒達にもぜひこの力をつけて欲しい、と願って実践を始めたのが12年前。授業のプリントをすべて同時通訳トレーニング仕様にし、生徒達にメソッドを伝え、授業中にトレーニングをさせ始めました。

同時通訳トレーニングは、生徒達に英語をインプットするのにとても効果的なメソッドを含んでいます。音の仕込みをして単語の読み方やフレーズの発音などを学び、その後、和訳を読み込むことによって意味を体に落とし込み、更に日本語の意味と英語を一体化させていくのです。

このメソッドは、何にも勝る可能性を秘めています。聴く力、英語を読む力(読解と発音の両方)、英語のロジックを理解する力、英語のスピード感に慣れること、語彙や英文の駒を増やすこと、かたまりごとに英語を前から捉えていく力、和訳をしなくてもすらすらと英文を前から前から理解していける力、などです。

このメソッドで授業をすると、教科書の説明はもの凄いスピードで終了し(実質、1駒の授業で、帯活動を除いた展開の時間に、Lesson丸ごとの説明が終わります)、残った時間をたっぷりとトレーニングに充てることが可能になります。

僕は新しい学年でも、この同時通訳トレーニングを授業の中で取り入れています。英語を音読するのが苦手な生徒でも、音の仕込みと意味の仕込みをたっぷりとやって、その後にトレーニングすれば、誰でもシャドーイングを自分で出来る力がつきます。


授業で同時通訳TR実践


《同時通訳トレーニングの仕方:1つのレッスンは、1回につき1パート、が目安です。》
11パートの和訳を黙読(30秒:PREP読みをする。「ポイントは?理由は?具体的には?」の視点で読む)
2.読んだ内容を友達にPREPで説明する練習(理解の血肉化)
3.音の仕込み(意味は考えず、CDの音声に慣れる。この際に発音指導:大きな声で×2回)
4.和訳の黙読(30秒:再びすり込み)
5.日本語の意味を踏まえながら「この部分はこういう意味だよね。」と想像しながらCDと音読×2
6.自主トレ(自分で立体構造トランスクリプトを見ながらシャドーイング)
7CDと一緒に音読×1
8.何も見ずに、CDの音声のみでシャドーイング×2


1~6までが仕込み作業です。この作業を経れば、英語が苦手な生徒でも、日本語の意味と英文の音の一致がしやすくなります。頭で一致出来た内容を、体を使って一体化させ、その後、英語のみで理解していくのが、シャドーイングのトレーニングです。

シャドーイングは世の中でもてはやされていますが、実際にこのシャドーイングの効果や意味を本当に理解が出来ていないと、初見で何も分からない英文を無理矢理音のみでシャドーイングさせてしまうことになります。

シャドーイングは、音の仕込みと意味の仕込みを経て、その2つを一体化させていく作業です。この仕込みの作業を行わないと、シャドーイングの効果は0です。全く意味がありません。ですから、1~6の作業を徹底します。気が抜けないのです。

生徒に説明するときにはダラダラとはしません。手短にさっさと説明を済ませ、分からないところは体を使って、トレーニングをしながら覚えていってもらう手法をとっています。個別に生徒のところを回って、個別指導を入れていく作業も欠かせません。

6.の中に出てくる「立体構造トランスクリプト」というのは、英文を立体的に構造化し、英文ができる仕組みを視覚的に捉えて、英語をかたまりごとに理解しやすくするプリントのことです。このプリントも、国井先生、橋本先生に教わり、自分で中高生にわかりやすいように作り方に改良を加え、現在は自分の授業で必ず作成して生徒に配布しています。
立体構造トランスクリプトを使ったTRを授業で取り組んでいる最中の画像です。

※立体構造トランスクリプトを見てみたい方は、dropboxに、僕が作成したSteve Jobsのスピーチのものを入れていますので、ご覧下さい。

又、和訳も先に配ります。和訳の中身を読ませ、その中身を友達に日本語で説明させる訓練を通じて、文章の読み方、要点のつかみ方、言葉による説明の仕方を実際に体験してもらいながら、これらの技術を身につけてもらうことが狙いだからです。
和訳を読み、読んだ内容をPREPで友達に日本語で説明するトレーニング

このトレーニングは1パート(1セクションという言い方を取る教科書もあります)を終えるのに10分弱しか掛かりません。授業では、どんどんパートを進むのではなく、1つのパートをしゃぶり尽くすようにトレーニングし、英語が確実に身についた、と生徒に感じてもらい、1コマの授業の中で、自らのパフォーマンス向上を実感してもらうのが目的です。

ここでも「焦らず、たっぷり、ゆっくり」が基本となります。

このトレーニングを教科書全編を使ってやっていきます。1年後には、子供達に恐ろしいほど強く太い英語の回路が身についています。

この効果は複数の学年で実証済みですので、今年も1から丁寧に指導をし、オーガニック指導(多読、英英辞典による語彙指導、読み聞かせ、英語の歌、スモールトークやディスカッションでのスピーキング活動)と併せて生徒達に取り組んでもらっています。

インプットとアウトプット、インテイク、すべてを縦横無尽に絡め合いながら、1週間の授業が瞬く間に終わっていく、という感じです。生徒達のこれからの頑張りがとても楽しみですね^^

最後になりますが、今の自分があるのは、宮崎県の中別府温和先生、KHシステムの国井信一先生、橋本敬子先生のおかげです。彼らがいなければ、今の自分はありません。先生方は僕の絶対的な師であり、弟子である僕が師の背中を超えることは絶対にできません。彼らが僕を育て、ここまで成長させてくださいました。僕は彼らに足を向けて寝ることは絶対にできません。

この場をお借りし、3名の先生方に感謝をしたいと思います。
中別府先生、国井先生、橋本先生、本当にどうもありがとうございます。先生が僕に施してくださった教育を、教え子や多くの先生方にお返ししていきます。先生方から受け継いだバトンをつないでいきます。

ではみなさん、また^^

追伸:授業や取り組みなどのご質問がある場合、ブログにて出来る限り紹介させて頂きたいと思っています。お気軽にご連絡下さい。


多読の授業は忙しい。

多読の授業を初めて2週間が過ぎました。子供達はめいめい本を手に取り、音読をしながら読んでいきます。

多読の授業と言うと、「生徒に本を勝手に読ませて、先生はすることがない。」と思ってらっしゃる方もいらっしゃると伺ったことがあります。これはとんでもない認識の誤謬です。

授業が始まると、生徒達の様子を見ながら、教室中を行ったり来たりして、生徒達が躓いていないか、読み方が分からない単語がないか、熱中できているか、など、様子を観察しながら徹底的に個別指導を入れていくので、休む暇がありません。

気がつけば50分の授業が終わっていた、というような具合で、とにかく生徒達一人一人が集中して本を読む時間を作ってあげて、躓いた時に寄り添い続けることが大切です。

初めての授業から2回目、昨日の多読の授業のポイントは以下の2点でした。

「レベル1+からレベル3までの本を読破するつもりでやろう。」
「ゆっくりじっくり絵を見て、どんな様子か、何をしているところか、絵に何が書かれているかを見よう。」

文章や単語の意味が分からないとき、辞書を引いたり調べたりは一切しません。絵を見ながら、その単語が使われている流れや様子を見て、意味を類推していく作業の繰り返しです。

子供達が自分自身の力で意味や語義に到達していくお手伝いをするのが先生の仕事でして、これは喩えて言いますと、有機栽培や、自然飼育に似ています。とにかく、気が遠くなるような手間が掛かるのです。

多読の授業、英英辞典の活用、絵本の読み聞かせ、毎回の授業でのスモールトーク(スピーキング活動)などはすべて、結果を急いでしまったり、成果を数値化するような指導ではなく、生徒達が自らの力で、「英語を英語のまま理解する回路」を育てていく指導法です。

これをやったからすぐに模試の成績やテストの結果が出るわけでもありませんし、検定に合格したりするものではありません。

一方で、自然な方法で育てられた野菜やお肉がとてもおいしくて、体にもとても優しいように、有機栽培のような姿勢で子供達を育てていくと、子供達に笑顔が溢れ、毎日の授業の中で、子供達は生き生きとします。

生徒達は「英語をやらされている」「英語の勉強をしなければいけない」「宿題や再テストがとても多くきつい」など、威圧感や圧迫感を感じることがなくなります。自ら学ぶ力をつけた子供達は、人からやらされて即戦力を身につけた子供達よりも強く逞しいのです。

この手間を惜しむと、子供達に自ら育つ力はつきません。子供達に対して教師が取る態度は、「愛情溢れる母親のような温かさと忍耐を持って、子供達を見つめ、励まし、受け止める」ことです。子供達はいろいろな間違いをします。失敗もします。その時に我慢して教えない。徹底して子供達が気づくまで待つ。気づく為のヒントはあげる。でも、答えや正解をけして教えない。

若い頃の授業を振り返ると、子供達にトレーニングをさせ、徹底して単語帳を使って鍛え、文法問題を死ぬほど解かせて、これで子供達は鍛えられた、と自己満足の世界に浸っていたんだな、とわかり、とても恥ずかしい気持ちになります。

追い立てるような指導をしなくても、子供達は伸び伸びと学びます。自ら気づきます。躓いている友達と励まし合って共に力をつけていく流れができていきます。

そういう授業をするのに、20年の時間が掛かりましたが、今こうして子供達が生き生きと授業中に活動をしたり、言われなくてもどんどんオックスフォードの英英辞典を引いて語義をノートに書き、イラストを添え、気づきや発見のコメントをつけている姿を見るのが幸せで仕方がありません。多読の時に生徒達と読み聞かせをしあったり、絵の説明をお互いに英語で言い合うことがとてもうれしい。こんなに子供達が生き生きしている、自分は20年間、何を教えてきたんだろう、そんな気持ちに気づかせてくれます。

話が長くなりました。子供達の多読の様子を見て下さい。すてきな時間を与えられている恵みと幸せに、感謝しています。

易しいレベルの本を追加しました。

生徒と一緒に1ページごとに読み聞かせをし合いました。

夢中になって多読に取り組む子供達。高校一年生です。



2016年4月26日火曜日

【6月12日(日)に東京で英語力強化勉強会@達人セミナー】


【6月12日(日)に東京で英語力強化勉強会@達人セミナー】
6月に東京で英語教師達人セミナーがあります。そこで、4時間勉強会をできる運びとなりました。達セミの谷口先生のお計らいです。
谷口先生、ありがとうございます^^
当初は2時間と思っていましたが、急遽、4時間勉強の時間を持てることになりました。関東近郊の方、お運びいただければ幸いです。
午前中は授業で実際にやっていることを中心に実際に体験していただく時間が多くなるかと思います。講義形式の座学っぽい形は取りません。
また、午後は通常スカイプで行っているディスカッション+資料を使ってのグループでのプレゼン作り、プレゼン発表まで体験していただければ、と思っております。アクティブラーニング的なやつなのかな、これ。
授業の取り組みに関しても、隠さず全部話します(ただ、だらだらは話さず、簡潔にまとめてお話しします)。
楽しみにお待ちください^^
濃いお土産準備しますね^^
【祝!達セミ21周年!】
◆東京・郁文館夢学園(2日目・祝達セミ21周年)
・日 時:6月12日(日)
・場 所:郁文館夢学園
<詳しくは www.ikubunkan.ed.jp/ を参照>
・参加費: 一 般4000円 院 生3000円 大学生1000円
・内 容:
10:00~12:00  第3講座 「英語を英語のまま教える授業実践と学習形態(1)」
         田中十督 <西南学院中学校・高等学校>
12:00~14:00 ランチ(皆で食べに行きましょう)
14:00~16:00  第4講座 「英語でディスカッション・暁の会in東京」
         田中十督 <西南学院中学校・高等学校>

英語を英語のまま教える授業実践と学習形態

今年から高校一年生の担当を仰せつかっています。
高校一年生に「英語を英語のまま理解する回路」を頭に作ってもらいたいと思い、オーガニックな語学学習に取り組んでもらおうと新しく始めたことがあります。

1. Oxford Essential Dictionary:以下OED(子供向け英英辞典)を使った語彙学習(ノートテイキングと継続学習:英作文へのアウトプットの下地作り+生素材へ積極的に触れさせる指導)

2. Oxford Reading Treeシリーズを使った多読授業の導入

3. 音読トレーニングノートによる音読の記録付けと家庭学習の定着(弱点発見、補強、授業へのシステマティックなフィードバック、家庭での音声学習の橋渡し)※これは実は5年前の中3と高1の2年間で既に効果を実証済みで、さらに補強を重ねて導入。

1~3の中で、3に関しては過去にやったことがあって効果があったことを再度補強して導入、1、2は完全に今までにやったことがない取り組みです。

授業が4月からスタートしてわずか3週間、子供達は恐ろしいほど変貌を遂げており、こちらの方が驚いています。

ノートへの取り組みが素晴らしい。特に英語を苦手としているであろう男子生徒のノートへの積極的かつ自発的な学習の取り組みが著しく向上しています。

また、OEDの取り組みで、アレルギーを示す生徒がいるどころか、これならば続けられそう、といった嬉しい声を多数耳にします。

これからGWを経て、学習はさらに進んでいくわけですが、授業でやっているのは以下のことです。何も特別なことはしていません。
【授業でやっている活動】
★帯活動(毎回必ずやるルーティーンワーク)
・スモールトーク(教師と生徒との英語のトーク)
・キクタンを使ったトレーニング(ペア)
・キクタンの絵を用いたスモールトーク
・キクタンの単語トレーニング(ペア)
・OEDを使ったスモールトークドリル
・歌や読み聞かせは適宜。生徒の様子を見ながら。

★ボディ:本時(その授業)の活動
・教科書の英文の立体構造トランスクリプトをざっくり解説
・和訳を読んで、友達に説明するペア活動
・セクションごとに英文をCDに合わせて音読
・シャドーイングはかなり音読をやり込んでからやらせる。
・音読は目的ごとに生徒の習熟度合を見ながら「塊ごと」「音のみ意識」「和訳見ながら(これは高度)」などをその都度変えて行う。

この2つを組み合わせてやっています。できるだけ生徒に話をしたり、考えたりする時間をあげて授業を進めていっています。

子供達の様子を見ながらその場のさじ加減で、盛り上がりそうにないこと、面白くなさそうなものはバッサリと捨てます。

作り込んでいくとその場の生徒の様子を軽視してしまうので、生徒達の様子をその都度見ながら活動を微妙にずらして変えていきます。

生徒達は生き生きしています。OEDの活動をしている時、あるいはキクタンの単語帳の絵を見ながらスモールトークをしている時、とても嬉しそうに友達と英語で語り合います。

僕は基本的にall in English形式をとりつつ、生徒達の様子を見ながら、日本語を混ぜ、また英語に戻り、としながら授業を進めていきます。

もっと生徒に英語で話をして欲しいのですが、今は中一レベルの英語を使って、どんどん物を説明させたり、身の回りのことを英語で言わせたりして、英語を話すハードルをどんどん低くして、とにかく英語で話してもらう、というトレーニングを繰り返しています。

ハードルの下げ方や、発話の工夫などについては、ネイティブの専任教諭であるマイケルと毎日相談をしながら、ヒントやアイディアを戴いています。

また、多読指導に関しては、去年から仲間になった多読の先生方にたくさんのご指導を頂きながら、毎週1コマ50分(実際は延長して60分くらいやっていますが)を、生徒たちにたっぷり楽しんで英語の本の読書に取り組んでもらっています。

僕の説明はここまでです。あとは生徒たちの音読トレーニングノートとOEDの書き取りノートの画像を載せますので、実際に生徒たちの学習を見ていただければ、と思います。

今年の子供達、本当に素直でかわいいです。穿つた見方をしたり、斜に構えている子供が一人もいない。毎回授業に行っていて、忘れていたような温もりを取り戻しているような気持ちで、毎時間の授業を終えて職員室に帰ってきます。

子供達のノートをぜひご覧ください。素敵な気づきや発見、自らが進んで取り組んでいる様子を見ていただければ、と思います。
英語が決して得意だとは言えない生徒達が、こんなに前のめりになって英語に夢中になっている姿を見る幸せ、英語を教えていて、これほどの喜びがあるでしょうか。

OEDを使った課題のプリント

キクタンリーディングを使ったスモールトーク

ORTを楽しんで読む生徒

ORTをレベル別に小分け

OEDを使ったスモールトーク

子供達は多読、好きみたいです^^

英語を英語のままわかる回路の発見

授業でやったことから発見したこと

キクタンリーディングの単語トレーニング

文法の授業とのリンク。子供自らが気づく素晴らしさ。

楽しんで勉強している様子が伝わります。 

丁寧にノートをまとめていた生徒。

絵を描いて単語を覚える効果を即実践した生徒。


この子のノートには気づきや発見がたくさん^^

授業をやったことを家庭でやってみて実感したこと^^

同日通訳トレーニングの効果を実感^^

マスいっぱいにコメントを書いた情熱的な生徒

こういう言葉から生徒は自ら発見をしていくんだと思います。

英語を英語のまま回路の発見

キクタンマジックを実感した生徒のコメント
ではまた^^


2016年4月21日木曜日

やらない「善」より、やる「偽善」

新しい年度がスタートし、いろいろと始めたこともあります。

「多読授業」がその一つ、もう一つは「スカイプ講座」の改定です。

今年から待望の「多読授業」がスタートしました。本当にうれしくてたまらない。この日を待ち望んでいました。


この本は「イギリスの小学校教科書で学ぶ英語」という本の一節です。夏目漱石が「多読」について言及している箇所が引用されています。「受験」という物差しだけで「語学学習」を見ていると、この文脈を理解するのは難しいと思います。


多読の授業は生徒たちにOxford Reading Treeという絵本のシリーズを読ませる活動をする授業です。

生徒たちのところを一人一人忙しく回り、生徒とマンツーマンで読み聞かせをページごとにしたり、わからないところはないか、発音はわかるか、などの個別相談を英語でして、生徒一人一人との英語のやり取りの連続で、50分の授業があっという間に過ぎていきます。気がつけば授業が終わっている感じです。

生徒たちは自分が手に取った本を音読しながら、読み終わったら記録ノートのプリントにコメントとrating(5段階評価)をつけていきます。評価とは、面白かったか、面白くなかったか、という点です。

この授業には点数もテストも評価もありません。ですから、一人一人が自分の活動にcommitしないと、達成が得られないのです。

生徒が自立するのを精一杯支援しながら50分を終える、と云った状態で、新任教師の頃に戻ったような気持ちで多読授業をしています。

ですが、授業の帯で生徒に英語で授業の趣旨を説明する際の生徒たちの真剣な眼差しや、英語そのものを理解したい、使いたいという生徒の静かな思いを感じました。



検定教科書の英文について。文法的に正しい、と日本人が勝手に信じ込んでいる英文は、実はネイティブにとっては全くナンセンスである、ということが書かれてありました。間違いだらけで英語として不自然な例文ばかりが載っているベストセラー単語帳の例文を思い出していました。

 問題を解いたり、テストを受けたりすることに、生徒はうんざりしているんじゃないか、と僕は感じました。もっと初期の段階で、たくさん生の本物の英語を吸収し、たくさんの生の英語に触れて18歳を迎えたら、受験勉強なんて、もっともっと楽に過ごせるんじゃないか、と思いますし、大学に入ってからも、社会人になってからも、英語を楽しんで続けていけるモチベーションが得られるんじゃないか、と僕は改めて思わされました。

2つ目。「ウェブ講座の改定」。2時間やっていた講座を1時間に短縮することにしました。
参加者の皆さんの集中度は増し、内容も整理され、とてもすっきりとした講座に生まれ変わりました。9ヶ月続けてきて、この講座も安定してきました。英語を楽しんで使いながら、毎週少しずつ新たな視点を皆さんとシェアできれば、と思っています。

そして、予期せず始めたこと、3つ目があります。

不幸にも九州では大きな地震があり、特に熊本、大分を中心に被災された多くの方々がいらっしゃいます。

生徒たちが届けてくれたたくさんの支援物資。卒業生もたくさん駆けつけてくれました。
熊本や大分出身の大切な親友がいます。また、在住の仲間も数多くいます。ですから、何かせずにはいられませんで、個人的にfacebookで呼びかけをし、物資の調達(福岡市に輸送を委ねます)と支援金の呼びかけ(支援金ボックスに入れます)、を毎日することにしました。
車の後部座席にパンパンに詰まった支援物資です。

個人的にしていることですが、実際に動いていると、自分の方がこの活動を通して、多くのことを学ばされていることに気づきます。

人のため、と思っていることでも、実はその行為を通して、多くのことを逆に学ばされている、という大切なことを、僕はこの活動を通して学びました。

気付かないことがたくさんある。

大切なことは、暁の会の活動、学校の仕事、災害支援、どれ一つにも言えることですが、「続けること」だと思っています。

息長く、自分に出来る範囲のことを続けていきたいと思っています。

東北の震災支援もまだ不十分だと聞いています。
東北の地でも、暁の会を開けないか、事務局で相談しようと思っています。できることを、とにかくやりたいです。

ではまた^^


2016年4月14日木曜日

#備忘録

自分の過去のやり方を振り返って、毎年いろいろに考えていくと、授業で気づくことは案外多いものでして、それを今年はある程度記録していきながら、考える材料にしたいと思っています。

去年は指導案作りをやっていましたが、煩雑になると、書きたくなくなって途中でやめてしまうので、気づきがある程度得られた状態を繰り返し記録していく方が有益か、と思い直し、記録をつけることにしました。

新しい学年は高校一年生。高校一年生や中学一年生を受け持つときには、その年にどういう3年間になるかが決まってしまうので、とても重要な一年となります。

一生懸命に奔走して、出来る限りマメに働かないといけない。それが新入生を受け持つ者の使命だと思っています。
授業の中で、計画からずれたことを瞬時に修正を掛け、その時の生徒達の顔つきや場の状況、空気を見極めながら、調整しつつ、授業を進めていっています。

生徒に無思考のまま50分終えるような授業をしたくないと思い直し、生徒が考えたり、アイディアをシェアする時間をより多く持てるように、と、日々考えを巡らせるようにしています。

授業の進行やカリキュラム、シラバスについては、かなりの自由を学校から許されていますので、生徒達が活き活きしながら授業の中で英語を使い、英語に慣れ親しんでいけるように、サポートを惜しまないつもりです。

英語で単語を導入したり、説明をしたりするとき、生徒達は一生懸命に聴きます。恐らく僕は、彼らの知らない単語も使って話をしたりしているんだと思いますが、彼らは真剣なまなざしで、一生懸命に聞き、僕が何を伝えようとしているのかを理解しようとしてくれます。

授業の中で、生徒が多くの事を感じ、友達と共有しながら、考える癖をつけ、英語のトレーニングで英語の持ち駒を増やし、インプットとアウトプットの両面から、英語力を高めていって欲しいと思っています。

こんな感じの備忘録は、気づいたときに、その都度書こうと思っています。
授業開始2回目(2016/04/14木) 

《授業の中身について》

all in Englishで全編を通す。 *歌は楽しんで歌う。

*「キクタン」は読みの練習を英語で指示し、英語でQ&Aセッション。反意語やいろいろな単語について英語で説明し、考えさせる。

*教科書の扱い方を今年から変える。

→以前までは、英語TRを基礎としていたので、生徒に初めから和訳を渡し、和訳を読ませ、ストーリーの中身を全部把握させた後、徹底してトレーニングをしていた。

今年から、まずレッスンのeasy versionのプリントを配って読ませ、その内容を友達と話させる。1回目は日本語で、2回目は英語で。その後、内容把握のプリントなどで確認をした後、自分でストーリーを言う(reproduction)活動を英語で入れていく。

《記録》

★自分では気づいていなかったけれど、本文の中身を予測させ、読ませていく事により、生徒に内容を自分で想像させる作業をこれまでの授業で入れたことは一度もなかった。今年は生徒に「考える」「自分で創る」「友達とシェアする」をテーマに授業をしていきたいので、授業中に積極的に生徒に考えさせたい。

★去年、長崎大での実践発表で、細川先生が教科書の使い方についてと授業の進め方についてのガイダンスを示して下さった。更に、ICUでの研修で、教科書レッスン内タスクの内容を検証し、なぜそのタスクを生徒にさせるのか、という事について、示唆が得られたので、それを実践するようにした。

★生徒達には極力、「答えを言わない」姿勢を徹底し、自分で考え、想像し、友達と情報を共有していく中で、頭の中にイメージを作っていく作業を繰り返させた。自分の頭の中に出来たイメージと、実際に書かれてある内容を、活動によって一致させていきながら、英語を英語のまま理解していく回路を生徒達の脳に作っていきたい。

★生徒に語りかける時、「自分は小さな子供に英語で説明をしている」という気持ちを持って英語を話すように心がける。難しい単語や言い回しを絶対に使わない。また、ゆっくり間を置きながら話す。そして、一度言ったことでも、何度も何度もその場で繰り返し、繰り返し伝えることにより、彼らの頭と耳を英語に慣れさせ、日本語を介さなくても、英語のまま話や場のコンテクストを理解できる感覚を身につけさせるのが狙いである。

★「お話の内容を想像させる」→「友達と情報をシェア」→「教師によるガイダンス」→「自分の英語で再構築(各パートごと)」→「音読トレーニング」(全体でなくとも良いし、あるいは教科書全部をトレーニングする必要もない。適宜、必要に応じて、音読トレーニングを入れれば良い。)→「英文要約」→「内容チェック」、の順でレッスンを終える事を目標にしたい。


★自分が文法項目をどうしても説明したくなるかもしれないけれど、Com.1の目的やテーマは、コミュニケーションと読解力、内容把握、アウトプットなどだと思うので、文法説明を極力最小限に止めるように我慢する。


この備忘録は気長に気ままに、継続していきます^^;

2016年4月6日水曜日

良い単語帳について

大切なsoul mates達との大好きなお酒を飲んだ思い出。神保町の素敵な老舗居酒屋で飲んだ時の写真です。大いに壮語快談と相成りました。教養があり、進取の気鋭に満ち溢れた人たちのとの時間は特別なものとなります。

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
新しい学期がいよいよスタートします。話し合いの1回目が終わり、いよいよ授業へ向けた気持ちが高まってきました。とてもワクワクさせられます。

新しく出会う子供達、どんな子供達なんだろう。
仲良くして、絆を深くして、子供達と良いものを作っていけたら、と思っています。サァ、頑張ろう^^

新しい学年で使う単語帳は、キクタンリーディングのBasic4000です。


この単語帳の素晴らしさは先日もブログに書いた通り。

使い方を同僚と話し合いました。今までの経験や方法などをみんなでシェアし、子供達にとって最良の方法を考えています。

新しく単語帳をする時、子供達はうんざりさせられたくないはずです。子供達をがっかりさせたくないので、この単語帳をしっかりとやり込み、しゃぶり尽くすように使い倒して子供達の語彙力アップを手伝ってあげたいと思っています。

単語はまずは音、そして意味、そして刷込み、そして一体化です。これは単語に限らず、構文、文章で出てきても同じやり方を通じて身につけていくのが効果的です。

語彙は瞬時に意味も綴りも出てくるのが良いです。ただし、学校の単語テストだけで本当に単語力が万全であるか、否かは、自分で英語のトレーニングをやっていればすぐに分かります。

言葉は、触れたり、使ったりすることで自分に身についていきます。読んだり聞いたりする時に触れる語彙は認識語彙、すなわち触れた時に意味が分かる語彙で、書いたり話したりする時に使える語彙のことは運用語彙として僕は捉えています。

子供が幼子の時から言葉を覚える際、まずは認識語彙として言葉を獲得しながら、認識した語彙を脳に集積し、その後、それを使う人に倣って真似をしながら、自分が使える言葉として、認識語彙を運用語彙に緩やかに変換していきます。

子供の頃、国語の時間にやらされた漢字ドリルを思い出してみてください。毎週、国語の時間に漢字テストがありますが、あの活動を通して身につけた語彙で、大人になった時に使える語彙が一体どれくらいあるか、ということについて、私たちはしばし考えをどこかに置き忘れてしまっています。

国語の漢字テストで覚えた漢字は、実際にそれが使われている文章を読んだり、人が話しているのを聞いたりしながらなれ親しみ、実際に自分で作文や小論文、さらには小難しい会話なんかをしている時に、ものの喩えとして、あるいは物事を説明したりする時に使ったりする度に、自分の語彙として定着していくんです。

英語の単語もこれと基本的には同じ道を辿るのが最適かつ最良の語彙獲得法なのではないのか、と僕は自分の長いトレーニング経験から深く実感しています。

見出し語1個ずつが載っていて、例文がチャチな単語帳を、僕はもうこの先2度と買うことはないと思います。それは、そんな単語帳を使っても、いつまで経っても幅広い運用力と、言葉の持つ弾力性や伸びやかで豊かな表現を可能にする語彙運用力は身につかないからです。

長く生の英語に触れていると、英文を見たときに、瞬時に分かることがあります。それは、その英文を書いた人が、母語を英語としているか、または、文法や単語の知識だけを勉強して、その知見のみを駆使し、文法の正しい規則だけに則って英文を書いているか、という点です。これは経験則なのでなんとも言えませんが、英文が不自然なものは、読んでいると気持ちが悪くなるんです。何故なら、ネイティブは絶対にそんな言い方はしないからです。それを直感レベルで知覚できるようになると、そういうヘンテコリンな英文を覚えたり読んだりすることが苦痛でたまらなくなります。

フランス語は、文法の規則に則って文章を編めば、美しいフランス語になる言語ですが、英語は文法的にいかに正しくとも、ナンセンスで運用不能な英文は、いつまで読んでも不自然です。

世の中で数多くの単語帳が出版されています。僕は、数十種類の単語帳を自分でトレーニングして潰して、あらゆるタイプの単語帳を実際に使ってみました。その経験則を元に総合的に判断した結果、上記のような点に気づくことができました。

受験英語を指導している時には、答案が正解になるよう、文法的に合っていさえすれば、ネイティブが絶対に使わないような表現でも書いて良いのだ、と指導する向きがありますが、僕はそんな考えは、語学を教える指導としては絶対に間違っていると思います。

言葉の持つ伸びやかさや豊かさを愚弄している。僕はもう、そんな指導を子供達にしたくはありませんし、それは言葉を教える資格がないのだ、と思います。単語は機械的に修練のように覚えるのが一等良い法だと子供達に教え込むのは間違いです。

もし自分の息子たちの先生がそんな人だったら、と想像すると、ゾッとします。そんな先生に教わる子供達がかわいそうだと思うからです。
早稲田駅前の漱石という素敵なお店で楽しく快談した思い出。

子供達には言葉の持つ素晴らしさを知っている人に教えてもらいたい。言葉の持つ豊かさに敬意を払い、普段からたくさんの書物を読み、多くの言葉に触れ、古典を尊び、母国語や外国語に豊かに通じている先生に教えてもらいたい。そんな風に思っています。

受験で点数が取れ、確実に合格に導いてくれる先生よりも、そんな小手先でチャチなテクニックを教えてくれる人よりも、子供達と文章を読んでいる時に、声を詰まらせ涙を流したり、楽しい小噺や古典の妙に笑顔で喜びながら話聞かせてくれる先生に習った方が、子供達の感性は豊かに、伸びやかに拓かれ、大人になった時に見るものへの愛情や感受性が、より深い階層へ入り込んでいけると想像されるからです。

そういう観点から考えて、キクタンリーディングはとても良い単語帳です。例文はどれも自然で、ネイティブが自然に使う表現だけが載っています。子供達にたくさんの良質の英文に触れてもらうことができる。それをどんどん覚えていって欲しいですね。

何よりも、単語の勉強を楽しくやってもらいたい。苦行のような気持ちで取り組んでは何もなりませんからね。

教師になって20年が経ちます。「北風と太陽」のお話で喩えるなら、僕はこれまでの半分以上を、太陽のような温かく懐の大きな先生を標榜していたはずなのに、北風のような先生として過ごしてきた側面があり、大きく反省しています。

退職まで健康に勤めたとしても、残された時間はもうあまりありません。残りの教職人生は、太陽のような、愛情が溢れて温かい先生になりたい。そんな先生で居たい。そう願っています。

そんな先生になれるよう、指導法、使用する教材、子供達と作る授業、子供達に語りかける言葉にも注意をしていきたい。

長くなりました。

新しい学年の子供達の授業、無機質なものではない、良質で素晴らしい英語にできるだけたくさん触れさせてあげたい、と心から希求し、日々の勉強を怠らずに頑張っていきたいと思っています。

ではまた^^


2016年4月4日月曜日

"La-di-da!"


暁の会を立ち上げて1年が経ちました。

京都のリーダーであり、親友の西山哲郎くんとは、暁の会立ち上げから、ほぼ毎日欠かさずメールのやり取りをしています。

内容は、といえば、何のことはない、取り留めもないことを、ああでもない、こうでもない、と言い合うばかりなのですが、やり取りの8割型を占めるのは、読んだ本のこと、見ている映画のこと、聞いている音楽のこと、芸術のこと、英語教育についての議論ばかりで、あとの1、2割で、次の何時何時にどんな勉強会をしようかと思っているとか、あの勉強会に出ようかと思っているとか、そういうことを延々と話しています。

最近のやり取りは、観ている映画や米国のテレビドラマに関して、そこで使われている英語のオーガニックな良さや、生き生きとした表現など、唸るものが多いよね、という話題が中心です。

通常は、映画やドラマを観ながら、気に入ったフレーズや、気になった表現をどんどんノートに書き留めていきます。それを実際に、会話やディスカッションでどんどん使ったり、英語でやり取りをする際に、メールの中で、あるいは文書の中で、時と場合によって使い分けることとか、thesaurus(類義語)の話だとか、派生語の話なんかをしています。

映画を観ながら書き取りをする方法は簡単なんです。

【映画やドラマを観ながら英語のフレーズを書き取る方法】

1. 映画を観ながらノートを開いて、気に入ったフレーズをどんどんノートに書き取っていく。その際、意味がわからないところは日本語字幕を見ても良いし、英語で聞き取りができない部分は英語字幕を見て書き取る。

2. 気に入ったフレーズのみで良い。自分が使えそうと思って、どうしてもメモしたいフレーズはメモしておくと良い。また、驚いたフレーズでも良い。

3. 楽しみながらやる。筋を追いたい人は、一度日本語で全編見ておいてから、2回目は英語字幕で映画を見、3回目は字幕一切なしで英語だけを聞きながら見ると良い。

4. 英語のトレーニングのみにフォーカスするならば、自分が気に入った映画を何度も観ながら、その映画を楽しみつつ、1、2の過程を繰り返しやると良い。

5. 洋画で有名なものは、googleで  [映画名 script]、と検索をかけると、台本が出てくるので、確認もできる。

6. 再び。楽しみながらやる。きつくなったり、疲れたら、やめる。飽きたら、別の作品でも良い。

英語を楽しむ、のがポイント。これは、最近僕の周囲で皆さんが次々と親しんでおられる「多読」についても同じことです。

多読は、全く英語がわからない人でも始められる素晴らしい語学学習です。多読は、入試問題を大量に解くことではありません。また、多聴も、リスニング問題を大量に聞くことを指すものでもありません。この勘違いのパラダイムを抜け出ないと、いつまで経っても、生の英語による多読や多聴の魅力にたどり着くことはできず、英語は勉強するもの、トレーニングは苦労してやるもの、受験で点数を取るのは苦行のようなもの、修行のきつさの先に悦びが見出せる、といったマゾヒスティックな語学学習論に終始してしまいます。

英語は苦しい勉強やトレーニングを経ないと習得できない、という考え方は、Steven Pinkerの本を読めば、説得力のない強引な暴論であることが分かります。Pinkerについて知りたい方は、こちらのwikipediaを参照してみてください。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC

もっと勉強して、英語が上手になりたい、という気持ちはあって良いと思いますし、語学力が向上することにより、コミュニケーションにおいて、幅広く多くのことができることも事実です。

しかし、習得の段階やそのレベル設定、興味関心や、心理的な行動理論、フォーカスされうるべき分野などの項目を十羽一絡げにして、これこそが王道!という英語学習論を唱える向きに、僕はどうしても与することができません。

言葉を覚えることは本来、心が震える歓びを覚える行為であるはずであって、学ぶことは心から楽しくいてもたってもいられなくなる感情が鼓舞されうる行為なはずです。

その意味で、映画の書き取り、英語の歌を歌う、洋書の多読を楽しんでやる、英英辞典を楽しんで読む、海外のニュース記事を読んで時事問題に思いを馳せる、などの行為は日常的に行えるはずです。

僕が英語に接するようになって今年で31年目になります。中学一年生の頃、「英語は楽しくてたまらない!」という気持ちから学び始め、その後、向上のための努力を繰り返していき、自然でオーガニックな語学習得が、実は一番体と脳に良い、という結論に達しつつあります。

その意味で、今年も、オーガニックな語学学習への模索と探求を引き続き続けていくつもりです。

オーガニックな語学学習への関心は、去年の暁の会の活動や多くの勉強会への参加を通して、飛躍的に高まりつつあります。

口に出して言わないだけで、多くの人が、オーガニックな語学指導や語学学習への関心を高めているという事実も明らかになってきました。

ますます精力的に探求を続け、学びを深めていきたいと思っています。

話が逸れて長引いてしまいました^^;
ごめんなさい。

ちなみに、ブログのタイトルは、僕と西山くんが大好きな、Woody Allen監督の代表作、"Annie Hall"の中で、ダイアンキートンが言うセリフです。

もっとも大いなるもの

単語の綴りを一生懸命練習するけれど、何度も、何度も間違える子がいる。 でも、授業中、何度もうなづきながら説明を聞き、話に耳を傾け、大きな声で歌を歌う。フォニックスの発音を、口を縦横いっぱいに開けて発音する。 oshienと単語テストに書いてきた。oc...