2015年5月1日金曜日

俳句を英語で読み聞かせる授業

生徒達と図書館で授業をしています。できる限りall in Englishの流れを取りながら、図書館で絵本の読み聞かせからスタートし、子ども達に多読をさせ、その後、授業で使う教科書のトレーニングを行っています。


授業の概略や、指導の狙いなどについて整理をしてみました。


《授業の流れ》
1Greetings + 教師からの語りかけ(英語)

2.  絵本の読み聞かせ
①絵本の中身について、あらすじを簡単な英語で言い換え、概略を生徒に説明します。

②生徒が英語でお話の筋を理解できているか、生徒達の表情を見渡しながら確認。

③読み聞かせ(教師が絵本を、キャラクターになりきり、読み進める)

④生徒達同士で役を替え、交互に読み合う。

⑤お話の内容を友だちと日本語でシェア

⑥教師が、メタファーやプロットの背景について英語で説明。

⑦時間があるときは、⑥の後、全体でコーラス読み


3.多読タイム…書架から好きなpaperback1冊取ってきて読む。時間は10分。毎回10分の読書タイムを設け、週で3040分、英語の本を読む時間を設ける。本はどんな本でも良いのですが、選ぶ際に条件付けを与えています。

☆できるだけ早く読み終わる本を、まず選ぶこと
(分厚いものにチャレンジするのは後で良い)

☆辞書を引かず、だいたいこんな感じかな、という気持ちでどんどんページをめくる。

☆読み始めたら、できるだけ最後まで本を変えない。

☆話しの筋を追うことを一等大事にし、細かい未知語や文法にこだわらずに文字を追うこと。

☆後で友だちとシェアできるように、筋をある程度追いながら読むこと。

4.教科書の音読・発音指導・話のコンテクストへの理解

教科書レッスンの和訳読み、音読、教師とのコーラス
(この際にチャンク読み、発音指導、固まり毎音読法、固まり毎意味取り法、などを随時断続的に指導を行っていきます。)

指導をする際の注意点は以下の通りです。

《指導の留意点》
☆未知語があり、類義語を用いて簡単に言い換えて説明すると、何度も頷く。その後、再び未知語を繰り返し、繰り返し、語りかけの中で使いながら話しをすると、生徒達は身を乗り出して話しを聞きます。その行為を繰り返すことにより、生徒にとって、未知語はいつしか既出語に変わっていきます。それを粘り強く何度も何度も繰り返します。


☆分からない単語が出てきたときは、その単語を言った後に、日本語の単語をそのまま言ってあげると、合点がいくようです。また、それだけで終わると未知語が定着しないので、何度も繰り返しその語を使って語りかけます。それにより、生徒達は分からない未知語を少しずつ認識語彙に変えていきます。


☆絵本の読み聞かせは受験問題からくらべると、稚拙に思えますが、寓話や絵本の中には、必ず教訓や垂訓が含まれているのが常で、その言わんとする所は何なのか、生徒に考えさせる、話し合わせる、その後、この絵本のお話の背景には何があるのか、を知る、という活動を通して、物語を読むときの洞察を深めていこう、とするのが狙いです。


☆お話の中に出てくるフレーズで、生徒が「あっ!」と思う表現に出くわしたとき、彼らの表情が変わります。その際、その場ですぐにそのフレーズを音読指導し、生徒と共に短いフレーズを暗唱するようにします。こうすることにより、未知語が身体に染み込むこと、英語を味わいながら読むことの醍醐味を全身で感じてもらうのが狙いです。


今日は、EJキーツさんの、「春の日や 庭に雀の砂あひて~A day of spring: In the garden, sparrows bathing in the sand.~」という、俳句絵本を使って、読み聞かせを行いました。図書館は教室と違い、広いスペースがありますので、生徒達をそこに車座に腰掛けさせ、絵本を読み聞かせしながら、俳句の解説を簡単な英語でし、その後、生徒と共に、日本語の俳句の音読、英語の俳句の音読を繰り返しました。


良い俳句があれば、それをその場で何度も音読し、その場で暗唱します。今日憶えた句はこんな句です。

“A flash of lightening, the sound of dew, dropping down the bamboos.”という句です。

子ども達は俳句を味わいながら、英語で描写される句の風景を思い描きます。英語で簡単に句の解説を入れます。子ども達、食い入るように英語を聴きます。5-7-5の魔力ってすごいね、英語で読むと素っ気ない感じになっちゃうんだけど、日本語は、句の中に、音と意味の両方を封じ込めて、短くまとめてるよね、と英語で話しました。


言葉そのものが持つ響きや、英語そのものが表現しうることのできる範囲を生徒達と味わい、このセッションを終え、多読のセッションへと移りました。


図書館で生徒達に英語の本を読ませながら、当たりを見渡すと、図書館は本当に宝物殿で、宝物が溢れていました。海外で出版されている日本芸術の写真集、美しい建築物の写真集(英語解説)、歴史的建造物の写真集などがあり、今後の授業のトピックや話題に事欠かないな、と僕は思いました。


また、長文読解に入った際、分からないトピックが出てきたときには、その場ですぐに生徒と一緒にそのトピックについて調べることもできます。図書館で授業を行うことにより、授業の可能性は縦横無尽に広がっていくことを、書架に納められている膨大な書物を見ながら全身で感じました。


 次回は教室に戻りクラスで授業ですが、他の2クラスは図書館で授業をします。図書館で授業を行いながら、読み聞かせ、素読暗唱、語彙学習、読んだ内容を友だちとシェアしたり整理したりする活動を継続しながら、少しずつ少しずつ、生徒達に英語を読む下地を作っていきたいと思っています。
 
長文を読むテクニックやロジックばかりを教えていても、小説の筋を追ったり、話の流れをつかむメタ認知力は上がりません。絵本を使うことには、以下の2つの明確な狙いがあります。

①お話の筋を追うプロット追跡力を身につけさせること。

②お話の裏にある、筆者のメタファーや伝えたいことは何なのかを探るメタ認知力を上げること。

過去に読解の授業を担当していて痛感したことは、たとえばトピックとして扱われていることが社会的な問題であったり、何らかの論理が展開されていても、「問題を解いている」という枠組みから一旦出てしまわないと、どうしてもその枠組みに囚われ、思考や発想が封じ込められ、死んでしまう、ということでした。

 絵本を用いる事により、簡単なお話の裏に秘められている狙いは何なのかを認識する力をつけるこことにより、生徒達の洞察力を高め、言葉を通した認識力アップ、プロットの把握力の向上を目論んでいる、というわけです。

今日の授業では、日本語の俳句を扱いましたが、折も折、ドナルドキーンさんの自叙伝的なストーリーがレッスンになっていましたので、とても良い内容だったと思っています。

今後の授業展開がとても楽しみになってきました^^

これが、彼らが直面していく入試問題演習に入った時、どのように昇華していくのか、楽しみで仕方がありません。

小手先のテクニックやメソッドばかりに囚われた指導をしていると、生徒の洞察力やメタ認知を育てる指導は生まれませんからね。入試演習を通して、生徒達に生きる力をつけさせるような授業を、これからもどんどんクリエイトしていきたいと思っているところです。

ではまた^^




もっとも大いなるもの

単語の綴りを一生懸命練習するけれど、何度も、何度も間違える子がいる。 でも、授業中、何度もうなづきながら説明を聞き、話に耳を傾け、大きな声で歌を歌う。フォニックスの発音を、口を縦横いっぱいに開けて発音する。 oshienと単語テストに書いてきた。oc...