2015年3月26日木曜日

外国語学習覚え書き


ラテン語の勉強をしていて、外国語を学ぶ時の身体感覚について、考える機会ができました。20代後半から30代前後半に掛けて、英語を我武者らに勉強していた時の身体感覚を身体が憶えていて、大体このような感じになるのではないか、とラテン語学習を通じて再確認しています。


僕は先ず、興味があるもの、面白そうだ、と自分が感じたものに飛びつきます。そして、マァ素人ですから、オイソレと直ぐにできはしないのですが、取り敢えず自分の興味関心の根が張って落ち着いて来るまで、ひたすら夢中になります。


そうすると、ただ夢中なだけでは、それ以上前に進めなくなることが分かって来るんです。ハハァん、このゲームにはルールがあるのだな、と気づくんです。


そうしてから、じゃあそのルールに少しずつ向き合いましょうか、という手合いになり、ルールを学び始める。そして、ルールブックに則るものは、トニカクひたすらコピーして真似をする、という塩梅です。


この作業を繰り返していると、ある日突然、breakthroughが起こる時が来る。


あ、なんか、分かる、と身体で理解できていることが認識される。


そののちは、大量にゲームをプレーして経験を積む、という流れになるのです。


これが僕が英語を勉強していた時に身につけた外国語学習の身体感覚です。僕は何語を勉強するにしても、このやり方を全て踏襲するようにしています。


ボサノバというブラジルの音楽がありまして、ジョアンジルベルトという翁の曲を随分と繰り返し聴きましたが、ポルトガル語なんか、ちっとも分からない。ケレドも、ジョアン翁の爪弾く美しいギターの旋律とともに発せられる美しいポルトガル語の響きに惹き付けられ、止せば良いのに、ポルトガル語を少し勉強したことがあります。20代の後半だったと思う。


初めはこっちは勉強なんて思っていない。トニカク、ジョアン翁のようなカッコいい唄い方でボサノバを唄ってみたいものだ、というただその一心で、ひたすら曲を掛け、歌詞カードを見ながら真似て唄う、の繰り返し。


その後、どんな意味なんだろう、と気になり出して、歌詞の和訳を読んでみる。そうこうしているうちに、この語の和訳はこれだから、おそらくこの語は、なになにそれがし、という意味なんでしょう、と渡りをつける。


すると、今度は語順が気になり出す。これでは埒があかないという訳で、いよいよ文法書を買おう、辞書を買おう、という話に成る。そして毎日、兎に角音声を聞き、それを真似て発音し、帳面に例文や単語をひたすら書き綴ってポルトガル語を憶えていく、という次第です。


終ぞポルトガル語はものになりませんでした。時間を大層掛ける暇を惜しむ気持ちに掛けていたのか知らん。腰を据え、性根を降ろしてやっておけば少しは分かるようにはなったでしょう。

また、思い返せば、中学二年生の折、物故のMichael Jackson氏が来日公演を行って居り、僕は塾帰り、テレビジョンでその踊る様を観て、氏の虜となり、上述と同様の手法で、ただひたすら、マイケル氏の歌真似を延々繰り返し、辞書を引いて歌詞を和訳し、諳んじて憶えたのが英語学習事始めです。


今、ラテン語、漢文を勉強しています。マァ、これは純然たる趣味なので、勉強というほど高尚に呼ぶと厚顔が過ぎまス。ですが、先に云ったポルトガル語の例がピタリと当て嵌まる。なるほど、外国語は先ず、興味を持ち、夢中になってそれと遊び、その後、遊びのルールを学び、さらにルールが分かったらひたすら繰り返し稽古をする、という過程が一等しっくりと来て、習得が早いのだな、とラテン語を勉強しながら思った次第です。


英語を生徒に教える時、この「言葉と遊ぶ」ことを端折り、「ゲームのルール」から入る。子どもはゲームなぞ、したこともないのに、このゲームをしなさい、と首輪を掛けられ、ひたすらゲームに有用なアイテムを憶えさせられる。なんのことはない、これでは外国語に慣れ親しむのに片落ちなのではないか、と、僕はフト考えました。


外国語の美しさや響き、言葉の妙に胸焼かれるとき、恋の桃色に似て、心は高揚し、居ても立っても居られぬような、やっきもっきとした気持ちが心に溢れ出す。そんな甘い蜜のような経験がなければ、ナカナカ外国語を一生懸命に勉強したい、とは思わないのではないか、と僕自身の外国語学習経験を通して考え直しているところです。


楽しい事は続けたいけれども、楽しくない事はなかなかどうして、続きません。楽しい、面白い、知りたい、やってみたい、という気持ちを、生徒達の心に醸造せしめ、横溢させしむる為に、仕事の遣り方を考え直してみたい、と僕はラテン語の勉強をしながら思いました。


Omnes beati esse cupint. 人はみな幸せになりたいと思う。



ではまた^^

もっとも大いなるもの

単語の綴りを一生懸命練習するけれど、何度も、何度も間違える子がいる。 でも、授業中、何度もうなづきながら説明を聞き、話に耳を傾け、大きな声で歌を歌う。フォニックスの発音を、口を縦横いっぱいに開けて発音する。 oshienと単語テストに書いてきた。oc...