2015年5月26日火曜日

教材の内容を膨らませて、子供達の心を揺さぶる。

教科書のLesson の中に、”Design for whom?”というレッスンがありました。これは中々捨て難い内容で、テストをして、はい、おしまい、としてしまうには、あまりにも勿体ないほど、気付きや深い含意を含んでいる、と僕は考えていました。




試験が終わり、子供達は中間考査の結果が気になる所だとは思いましたが、今日の授業では敢えて答案返却をせず、このLessonを通して、より深く学べることはないかを、身体で感じて欲しい、と思い立ち、授業をすることにしました。


先ずはReview(復習)と題打って授業を始め、レッスンを音読しながら、筆者の言いたいことは何だったのか、大切だ!と思う所に赤ペンでチェックを入れながら音読をするように指示を出しました。


次に、自分が音読をした内容を、日本語で友達とシェアします。「自分が思うに、著者が言いたかったことってこういうことなんじゃないか。」と友達同士で話をしてもらいました。




その後、今度は英語でその内容を言ってもらう様にしました。英語で言う際に、自由に言え、では無責任ですので、こういう風な言い方をして、SVのところは、教科書の英文をそのまま入れて言ってみると言い易いですよね、と促して活動を行いました。




生徒達はさすがは高校三年生、僕の板書の英文に自分なりの身振り手振りや、簡単な言葉を付け加えて楽しそうに英語を話していました。




その後、人に何かをしているときに、私たちは知らず知らずのうちに上から目線になっていることはないだろうか、という問いかけをしました。

ボランティアとひとくちに言っても、ボランティアをする相手を本当に一人の人間として尊重できているだろうか、僕らは上から目線で、つい「してあげている」という気持ちになっていることはないだろうか、と生徒に問いかけました。




その後、僕のエピソードを話しました。大学生の頃、部活に全盲の女の先輩がいたんです。その先輩と会話をしている時に、「あたし、こないだ、彼氏と映画を見に行ってさ。」と楽しそうにデートの話をしてくれる女の先輩に対して、「えっ?」と思う自分がいました。僕はその先輩の事を一人の部員として、先輩として自然に接しているつもりでいましたが、次の瞬間、あ、自分はこの人のことを下に見ている、と、上から目線になっている自分が恥ずかしくなりました。


目の見えない人に彼氏なんかできるわけじゃないか、という傲慢で勝手な思い込み。差別です。次に、目が見えない人が映画なんか見られるわけないじゃないか、という決めつけ。


自分のことが恥ずかしくなったんだよね、と生徒に語りかけました。たとえばホームレス支援をする際、ホームレスの方々に衣類などの提供をする際、自分が要らなくなったものをあげてはいないだろうか、と生徒に問いかけました。自分が人から使い古しの下着やシャツをもらった時、くれた人に対して、ありがとう、って心から言えるだろうか、まず心に思うのは、新品のシャツじゃないのか、っていう気持ちなんじゃないだろうか、と生徒に伝えました。




僕らは誰かに何かをしてあげるとき、知らず知らずのうちに、上から目線になっていやしないか。このlessonを通して、筆者はそんな人間の根源的な習性を諌める気持ちもあったのではないか、と生徒に問いかけ、持って行った教材を配り、生徒と一緒に群読しました。
https://www.youtube.com/watch?v=7U_MgwcVWoQ
Once there was a tree....
and she loved a little boy.
And everyday the boy would come
and he would gather her leaves
and make them into crowns
and play king of the forest.
He would climb up her trunk
and swing from her branches
and eat apples.
And they would play hide-and-go-seek.
And when he was tired,
he would sleep in her shade.
And the boy loved the tree....
very much.
And the tree was happy.
But time went by.
And the boy grew older.
And the tree was often alone.
Then one day the boy came to the tree
and the tree said, "Come, Boy, come and
climb up my trunk and swing from my
branches and eat apples and play in my
shade and be happy."
"I am too big to climb and play" said
the boy.
"I want to buy things and have fun.
I want some money?"
"I'm sorry," said the tree, "but I
have no money.
I have only leaves and apples.
Take my apples, Boy, and sell them in
the city. Then you will have money and
you will be happy."
And so the boy climbed up the
tree and gathered her apples
and carried them away.
And the tree was happy.
But the boy stayed away for a long time....
and the tree was sad.
And then one day the boy came back
and the tree shook with joy
and she said, "Come, Boy, climb up my trunk
and swing from my branches and be happy."
"I am too busy to climb trees," said the boy.
"I want a house to keep me warm," he said.
"I want a wife and I want children,
and so I need a house.
Can you give me a house ?"
" I have no house," said the tree.
"The forest is my house,
but you may cut off
my branches and build a
house. Then you will be happy."

And so the boy cut off her branches
and carried them away
to build his house.
And the tree was happy.
But the boy stayed away for a long time.
And when he came back,
the tree was so happy
she could hardly speak.
"Come, Boy," she whispered,
"come and play."
"I am too old and sad to play,"
said the boy.
"I want a boat that will
take me far away from here.
Can you give me a boat?"
"Cut down my trunk
and make a boat," said the tree.
"Then you can sail away...
and be happy."
And so the boy cut down her trunk
and made a boat and sailed away.
And the tree was happy
... but not really.

And after a long time
the boy came back again.
"I am sorry, Boy,"
said the tree," but I have nothing
left to give you -
My apples are gone."
"My teeth are too weak
for apples," said the boy.
"My branches are gone,"
said the tree. " You
cannot swing on them - "
"I am too old to swing
on branches," said the boy.
"My trunk is gone, " said the tree.
"You cannot climb - "
"I am too tired to climb" said the boy.
"I am sorry," sighed the tree.
"I wish that I could give you something....
but I have nothing left.
I am just an old stump.
I am sorry...."
"I don't need very much now," said the boy.
"just a quiet place to sit and rest.
I am very tired."
"Well," said the tree, straightening
herself up as much as she could,
"well, an old stump is good for sitting and resting
Come, Boy, sit down. Sit down and rest."
And the boy did.
And the tree was happy.



大きな木、というタイトルの絵本です。日本でも大変有名で、幼稚園、保育所、小学校になら、どこにでも置いています。この本はどんな解釈をすることもできます。生徒達にlessonを通して学んだことを、この絵本の英文を通して昇華して欲しかったのです。


誰かに無償の愛を注ぐことは意外にも難しい。でも、そのことを分かっている自分と分からないままの自分とでは、何かが大きく違うんだよね、と生徒と共に学びを深めました。


教科書のレッスンを使いながら、生徒達と共に、言外に語られることを洞察を持って見つめること、それこそが読解力を深める鍵を含んでいるのではないか、と僕は考えました。


通常であれば、教科書の解説をし、Q&Aなどをして、Exerciseを解いて、テストを受け、はい、おしまい、となるのが英語の授業なのでしょうが、それで終えてしまうには、あまりにも勿体なく、深いメッセージを読み取ることができる内容でした。


副教材的に絵本を取り入れるとき、どのタイミングでどんな内容のお話を持って来て、生徒達にどんな風に話をしてもらうか、が摑めて来ました。


また、英語でトークのセッションをしてもらうとき、生徒達の英語の会話が活発になるように、どんな投げかけをして、どのように導けばいいかのヒントも、今日の授業に数多く含まれていた気がしています。




今日の授業は心に残る授業でした。明日以降も、生徒達とこの本の解釈を巡り、英語で色々な議論を深めて行きたいと思っています。


良い授業を生徒と一緒に分かち合うことができました。幸せな一日でした。
ではまた^^




もっとも大いなるもの

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