2015年4月28日火曜日

今日から図書館で授業^^

多読の活動を生徒にさせたいと思い、Grade Readerというシリーズの本を注文したい、と思っていたのですが、なかなか上手い事を思い浮かばず、二の足を踏んでいました。

生徒達に英語の本をどんどん読ませて、自然と読解力が身に付いて行く流れの実践を作りたかったのです。

毎回の授業で、四、五十冊の本を教室に持って行くのは煩雑です。また、生徒達を多読セッションの時だけ図書館に移動させるのもどうかと思いました。

そこで、図書館の司書の先生に相談に行きました。折も折、校長先生が図書館で読書をして居られ、校長にも立ち会ってもらい、図書館で英語の授業をしても良いかと尋ねました。

司書の先生も校長先生も、異口同音にして「図書館で授業、是非やってください。図書館をもって利用して欲しい。」と背中を押して頂き、満を持して、ようし、では一丁やってみるか、というので、今日の6時間目は図書館で授業をしようと試み、生徒に教室移動の連絡をしていました。

図書館で授業をするとなると、本校の図書館、吹き抜けになっていまして、もしここで大きな音を出したり、音楽を掛けたりすると、全フロアに音が響く事と相成り、他の授業にご迷惑をおかけする事になります。
そこで、図書館で授業をするにあたり、音楽を掛けたりすることは止め、できるだけ英語の音も小さな音で流す事を決め、授業に臨む事にしました。

ここ一、二週間、生徒達に対して、「受験英語」という枠で授業を受けてもらうのではなく、「英語そのもの」にたくさん触れて行く中で、「英語って楽しんだね!」とか「英語で何かをする、って面白いね。もっと知りたい。」という気持ちにどうしてもなってもらいたくて、敢えて授業はできるかぎり英語で行なう様にし、生徒達がきちんと話にfollow upできるように、時折、語彙は日本語でそのまま言ったりしています。

そういう活動を続けて行く中で、受験の問題に触れた時、普段やっている活動から、受験問題を突破して行く時のヒントやアイディアを数多く得てくれるのでは、と睨んでの試みです。

英語が苦手、と書いている生徒達が多かったので、まずは自信を取り戻して欲しかったのです。英語って楽しい、英語を勉強するの、好き!ってまずなってもらい、その後、それを続けて行くと、壁に当たる。楽しいだけではこれ以上前に進まない、と思ってもらう。その上で、じゃあ、単語や文法、真剣に復習しないとね、って自分で気付いてくれる事、その上で、じゃあ勉強しなきゃだ、と必要性を自分自身で気付いてくれる事が、僕の狙いです。

時間は相当掛かりますが、僕はこれを4月、5月掛けてやりたい。カリキュラムの中にある教科書や問題集も当然用いますが、その前の準備運動や基礎学習トレーニングを経ないと、子供達の気持ちが英語に向いて行かないのでは、と僕は考えたんです。

ある男子生徒が昼休みに言ってくれたすごくうれしい事があるのですが、「4月の最初は先生の英語がぜんぜん理解できなくて、この人、なに言ってんだ、って思ってたんですけど、最近は先生の英語に慣れて、だんだん分かる様になって来ました。」とぼそっと伝えて呉れ、ああ、こういう取り組みを始めて良かったな、とうれしく思いました。

生徒達に課題を出す時には、外国人の人が日本で体験した事をブログに綴っているものをGoogleで探して来て、それを加工し、辞書を引かせないでどんどん読ませたり、Wikipediaで日本のアニメやイチローさんのような外国で活躍している人の解説などを読ませ、その人物描写を英語でさせるようなことをしています。

先週の課題は、美味しいラーメンの紹介ブログと、進撃の巨人の解説ページ、などでした。

決して英語が得意とは言えない生徒が、今日の休み時間に、「先生、俺さ、進撃の巨人、読んだ事ないけどさ、この課題やってて、漫画読んでみよう、って思ったんだよね。」と言ってくれて、少なからずこの取り組みが生徒達の心に気付きを与えて呉れているんだ、と思い、頑張って続けようと改めて思いました。

さて、今日の6時間目の授業の話に戻ります。そういう訳で、生徒達は教科書の世界をやりつつ、世界で使われている生の英語に触れる機会がある程度あり、取り組みに参加していますが、如何せん、語彙力がなかったり、文法が朧げだったりして、心もとない。感想を読むと、ほとんど意味が分からなかった、と書いてあるものも少なくなく、また授業中の多読タイムでは、生徒の読むスピードがとても遅い事に気付きました。

これは、とてもじゃないけれど、このままのレベルで活動を続けていると、生徒達は段々自信ややる気を失ってしまうな、と考えました。

そこで、一旦教材のレベルを下げる事にし、何が良いだろうと思って考えた時に、出た答えが、絵本、だったんです。

子供達は幼稚園や保育園、あるいは小学校の低学年の時に、かなりの読み聞かせをしてもらってるはずなんです。そこで、日本でもポピュラーな絵本を英語で読み聞かせ、その内容について友達と話し、絵本の英語を辞書を使って徹底的に調べ、その和訳を、絵本作家になったつもりで、小さな子供が読んで、ワクワクするような日本語で和訳させる取り組みはどうだろう、と思い立ちました。

生徒達の普段の表情を見ていますので、この取り組み、一定の効果が必ずあることを確信していました。

うちの学年では、木村達哉先生のユメタン1、2を採用し、生徒達と単語テストやトレーニングを行なっています。この本、本当に優れた単語帳で、単語選出のコーパスの力が物凄く、登場するどの単語も、決して外す事はできない必須語彙ばかり。

ところが、生徒、覚えることは覚えるんですが、うろ覚えだったり、トレーニングをさせても、ぜんぜん響いてないんです笑。

そこで、彼らに英語を話すとき、ユメタンに出てくる単語をできる限りたくさん使いながら、語彙に触れさせる事にしたのが先ず一点、それから、生の英語教材の中にも単語帳の単語がふんだんに出て来る事を感じて欲しいと思い、多読教材を選んでいます。結構これが、大変な作業だったりするんですけどね笑。

で、今日は「三匹のやぎのがらがらどん」という絵本を選び、その読み聞かせを行ないました。

英語のストーリーを探して来て、プリントをこしらえました。ただし、読み聞かせをするのと、彼らに頭で内容を想像して欲しいのもあり、絵は載せません。著作権の関係もありますしね。何れは英語バージョンを買って来て読み聞かせする予定ですが。

まずは、どんなお話なのかを簡単な英語で解説しました。絵本とはいえ、本の中はfantasy とillusionの世界、子供達が普段触れない様なオノマトペの様な単語や、例えばヤギの角とか、日常生活で使う道具の英語など、知らない語彙がわんさか出てきます。
ですから、できる限りユメタンや教科書に出てくる単語で置き換え、僕がまず英語で簡単に説明します。

次に、僕がやぎの兄弟と怪物トロルになりきり、生徒の前でパフォーマンス、生徒達、6時間目で眠たい子もいるだろうに、一生懸命食い入る様に聞いてくれました。

その後のセッションです。物語全てを話し合うと時間がとても足りないので、トロルと兄ヤギの決闘シーン、兄ヤギはどうやってトロルを倒したのだろうか、という発問を英語でし、日本語でディスカッションしなさい、と英語で指示を出し、話し合いをさせました。その後、いくつかのグループに日本語で発表させ、最後に僕がpunchlineの解説を行ないました。

児童文学の中には、一見すると単なるfantasyのように思えるおとぎ話でも、欧州の歴史上、決して忘れては行けない様な悲惨な出来事も含まれています。

たとえば、グリム童話に出てくるヘンゼルとグレーテル。親が子供を森に捨ててくる話なのですが、これは当時の欧州が不況で失業率も高く、低賃金労働に従事する労働者の家族の中で起こった悲劇を、ファンタジーというフィルターを通して世に残した作品なのだ、と僕は理解しています。同じ様なモティーフを持った作品には、マッチ売りの少女などもありますよね。

そういう話を子供達に英語で話しました。また、日本の卑近な例も出しました。柳田国男さんが編纂した日本の民間伝承の記録があり、その中には不可解な事件について、昔の日本人がそれを妖怪や幽霊に準えて語る話が多く残っている事も告げました。

神隠し、というのは、霊的なものの仕業の様に扱われて伝えられているけれども、その実、貧乏子だくさんの貧しい家庭の口減らしで、貧しいが故に子供を養う事がままならず、他人や家族にばれない様に、子供を殺害し、それがあたかも霊的なものの仕業の様に伝えられ、その悲惨さを人間の仕業として残さぬ様にし、残されたものの心の禍根を闇に消し去る意味があったのではないか、と僕は子供達に語りかけました。

みな、真剣に聞いてくれました。その後、欧州の児童労働が横行し、これは行けないと思ったブルジョワ資本家や政治家が、憲法で「子供に教育を受けさせる義務がある」と唱ったんだよ、とこれまたユメタンに出てくる単語をたくさん使って、話をしました。子供達は眉をひそめ、時折頷きながら、食い入る様に聞いてくれました。

話が暗い方向に行ったので、笑顔に戻し、じゃあ、多読をしてみようね、と良い、書架のpaperbuckコーナーに連れて行き、好きな本を持って来させて読ませました。子供達、静かに食い入る様に英語の本を読んでくれました。

あっという間の50分でしたが、本当に充実したひと時でした。僕にとって、キャリア初の試みでしたが、こんなに充実したひと時が与えられていいのか、と思うほど、心は満たされ、子供達の笑顔を持って授業を終えました。

これから暫く、図書館で授業をするが、どうだ、と子供達に問いますと、先生、やりたい!楽しかった!と笑顔で応えてくれました。歌はやれないけれど、良いか、と聞くと、良いよ、と笑顔で応えてくれました笑。

まだまだ荒削りで、思いつきをどんどん形にして行ってる段階ですが、今日の授業の手応えはすごかった。

今日の授業反省には、今後の課題として以下の事をしたためました。
☆生徒達に,英語のセンテンスのquick responseの練習をさせ、Q&Aに慣れさせ、どんどん英語で言える様なトレーニングを帯活動で行なうこと。

☆英語で言う際のヒントや、アドバイスをさりげなく英語で行ない、生徒達に英語で話す時に必要な事に気付かせること。

☆図書館で多読活動をせっかくやるのだから、授業後の休み時間に、図書館に置いてある日本語の本にもどんどん目を向けてもらうよう、英語で啓蒙しつづけること。

☆図書館で授業を行う事により、日本語の古典、漢文、論説文、新しいものの紹介本、美術書、百科事典などを英語で紹介でき、どんどん生徒が読んで行くような流れも作れる可能性が秘められていること。

☆他の先生方も図書館を利用した授業が行えるよう、研究授業を図書館で行なうこと。

☆黒板がないため、板書ができない。そこで、板書する内容を極力プリントに納め、その他の情報に関しては水性マーカーとスケッチブックを持って行き、その場で書いて生徒に提示すると良いこと。

☆セッションが楽しい遊びに終わらないよう、それに向けた準備や課題に積極的に取組むように促すこと。その際、課題は、生徒がやってみたくなるような題材をきちんと吟味すること。

☆英語で何かを訴えても、生徒にはきちんと伝わる事が分かったので、長文読解をさせる際、あらかじめ分かっているKey Topicについてのセッションを読解の前に持ち、その後、問題を解かせる、という流れの方が、生徒達の食いつきが違う、ということ。

☆答えを教えてあげる時と、気付かせるとき、友達と発見し合う時が授業中にspontaneousに起こることが最も効果的である、ということ。

いや、ほんとに生徒達に毎日元気をもらっています。素晴らしい時間を過ごす事ができました。単発で終わらない様にきちんと継続した活動にし、記録を残して行きたいと思います。

これを読んでくださっている全国の先生方にも、明日から始められる様にひな形のようなものを提示出来れば、と思っています。

ブログで紹介しますので、おお!と思って頂ければ、是非トライされてみてください^^

僕もやる前までは、正直、ビビってました笑。

ではまた^^

もっとも大いなるもの

単語の綴りを一生懸命練習するけれど、何度も、何度も間違える子がいる。 でも、授業中、何度もうなづきながら説明を聞き、話に耳を傾け、大きな声で歌を歌う。フォニックスの発音を、口を縦横いっぱいに開けて発音する。 oshienと単語テストに書いてきた。oc...