2016年1月12日火曜日

「語彙ストックの頭打ちが、自身の英語力の天井となる。」

暁の会の学習者の方は全部で12名ほどいます。その仲間に12月の勉強会の際にお伝えした言葉が「語彙ストックの頭打ちが、自身の英語力の天井となる。」という言葉です。

また、単語を覚える際の注意点についてもお話をしました。今回のブログでは、そのお話を掘り下げて書いてみようと思っています。

日本語を例にとって考えてみましょう。例えば、子供は漢字ドリルをやると語彙を覚えます。でも、語彙は使わないと運用語彙にはならない。だから、例えば、子供が覚えたての漢字を感想文で使ったり、読んでるものの中に出てくると嬉しかったりするのと同じで、実際にその語彙が使われている状況に数多く触れていくなかで、認識語彙を運用語彙に変換していく作業を経て、新しい語彙は自分のものになります。

単語帳をやって語彙を増やしたい、という気持ちを持っている方が多いと思います。僕も数多くの単語帳をトレーニングし、語彙を獲得してきました。ですから、単語帳そのものの使用は推奨していますし、否定しません。

ですが、単語帳や文法ドリルを語学学習の基軸に捉えてしまうと、「多読・多聴をさせる時間がない」や、「受験までに時間が掛かりすぎる」などの理由から、語彙獲得は単語帳で、文法はドリルで、という安直で短絡的な発想で語学学習を捉えてしまいます。僕はこれは誤りである、と思っています。

実際に自分の体を使って14年間英語のトレーニングを行い、たくさんの失敗や試行錯誤を経て、今の自分の英語トレーニングの型を作ってきました。

英語のトレーニングを実際に毎日やっていればわかると思いますが、単語を獲得する時、一番定着力がよく、また早い段階で認識語彙が運用語彙に変わるのは、「読んで覚えた語彙」と「実際に見聞きした語彙」だということがよくわかると思います。これは受験勉強や資格試験のみでしか英語を勉強したことがない方には、実感を伴っては理解がし難いことだと思います。

言葉は、生きた文脈や会話の中で使われているものを獲得した方が、一番体に定着します。単語帳を使ってトレーニングするのは、生きた文脈や会話に出会う前に先取りして予習をしているに過ぎず、それらの単語も、実際に多くの場面で触れたり、実際に自分で使わないと、絶対に定着しません。

読書をたくさんする子供は良質の日本語の文章が書ける傾向にあります。これは統計やデータから得た知見ではないので、いい加減なものですが、想像してみればわかることです。

漢字テストで毎回満点を取り、たくさんの日本語を覚えている子供で、読書量が圧倒的に少ない子供よりも、漢字テストの点数はそこそこでも、たくさんの本を読む子供の方が、長い目で見た時に、最終的には良き日本語の使い手となることは、想像に難くないことだと僕は思っています。

僕は、シャドーイングの基軸トレーニング用(基軸トレーニングとは、毎日必ずやるドリルやパターン練習のようなトレーニングのことを言います。)に、Z会の「速読速聴英単Opinion1400」という単語帳を使っています。

これは、多読多聴ばかり毎日やっているので、基本の聞き取りや話す時のフォームが乱れがちになるので、その矯正用に、と思い、買いました。

実際には、Oxford Advanced Learner's DictionaryをAの項目から毎日読んでいて、気になる語彙や英文をどんどんノートに書き留めていっています。これも膨大な量がありますけれど、目を通していくうちに、読む速度も上がりますし、知らない単語にたくさん出会えるので、良いかと思っています。

1週間に1項目読めば、アルファベットは26文字あるので、半年で読了する計算になります。なので、今年はこれを2回繰り返そうと思って、今取り組んでいます。

また、普段は、米国の新聞(Washington PostとNew York Times)、日本の英字新聞(The Japan Times とThe Japan News)を併読+乱読しています。

さらに、CNNのAnderson Cooperの360°と、Jake TapperのThe Leadという番組(それぞれ四十分ずつ)を毎日多聴教材に使っています。

毎日トレーニングを欠かさずやっていると、気付くことがあります。それは語彙の定着率です。自分が毎日触れる語彙は忘れにくいのですが、なかなか使わない語彙は瞬時には出てきません。

これは当たり前のことなのですが、頭で理解しているのと、実際に毎日英語に触れている時に実感することの差は歴然としています。

自分が思っている以上に、単語はなかなか自分の駒として使えるようになっていないのです。これは、構文、文法事項についても言えると思います。

一例ですが、what S+Vの名詞構文や、It ~ for ~ to の構文、関係詞など、英文記事やメディアに触れていれば飛び交うのですが、使える駒として自分の中に定着していなければ、それらを聞き取ったり、読んで理解するのが精一杯、それを使える表現として運用語彙に変換することは、覚える、という単純作業だけでは絶対に不可能です。

単語帳を使って勉強をしている人は、ぜひ生素材(英文、メディア素材、ペーパーバック読書)を必ず入れて、覚えた単語をきちんと運用語彙に高めていく作業を省かないようにすると良いと思います。

また、語彙や表現が自分のものとして定着していくには、かなりの時間を要します。ですから、無理に詰め込んでも、どうせ忘れてしまいますし、短期で覚えられたものは、短期で忘れてしまうんです。逆に、長い時間をかけて定着させた表現や語彙は、いつまでも自分の運用語彙、運用表現として使うことができます。

単語帳のみを使った学習は、必ず生素材の多読多聴をセットで行っていくことで、より磐石な語彙力が獲得されうるということを今一度再確認していただけると、皆さんの英語力も、より効果的に向上していくと僕は思っています。

さらに言いますと、ぶつ切りの見出語のみが載っている単語帳ではなく、できるだけ文章が載っている単語帳を使った方が、より定着率は高い、と、上記の理由から断言しておきます。

そういう意味で、僕は次に授業で使う単語帳を選べ、と言われたら、迷わず、見出語が出てくる英文があり、その音声も入っている単語帳を採用すると思います。

それに、通訳トレーニングで学んだ基軸トレーニングを入れ、さらに、記録をつけてもらい、伸びを実感してもらおうと思っています。

また、多読多聴の時間を週に1度必ず取り、生徒たちに多くの英文に触れさせたいと思っています。

そして、スピーキング活動も毎回の授業で必ず入れていきます。実際にアウトプットとインプットを両面から鍛えていこう、という算段です。

自分の経験や失敗を精査した結論で、これが一番自然で、なおかつ生徒たちの英語学習に適していると判断したので、こういう展開をしていこうと思っています。

来年度の暁の会での発表も、こういうことが中心になっていくと思っています。

僕は実際に自分の体を使って勉強やトレーニングをしてみて、その上で自分が感じた事やその上で得たことを生徒に還元したいと思っています。

では、また^^

もっとも大いなるもの

単語の綴りを一生懸命練習するけれど、何度も、何度も間違える子がいる。 でも、授業中、何度もうなづきながら説明を聞き、話に耳を傾け、大きな声で歌を歌う。フォニックスの発音を、口を縦横いっぱいに開けて発音する。 oshienと単語テストに書いてきた。oc...