2017年2月9日木曜日

ジワる授業

CLIL授業実践中。

昨日、「ユリイカ!」と叫んだアルキメデスのような心持ちで1日を過ごしましたが、今日はその2回目とCritical Thinkingの前段階。描写→主張、という形をとり、文法、語彙、構文、熟語など、練習に余念がありません。

*ルールはゲームの中で覚えていく
英語力を身につけていくことをサッカーにたとえますと、昨日今日の授業は、ミニゲームを通して、ルールや戦術を統合的に学ぶ活動です。

ルールブックは、ミニゲームや試合を通してわからなかったところを都度見返す、監督やコーチに尋ねる、友達と話し合う中で身について行きます。

机に座ってルールブックを完璧にマスターしても、審判にすらなれません。審判はゲームでジャッジをしながら、頭で理解しているルールをジャッジのスキルに昇華しなければ仕事が務まらないからです。

CLILというのは、Content and Language integrated Learning
(内容言語統合型学習)と言いまして、今まで各項目に分かれて別々に指導したり学習していたりしていた英語の授業が学習を、一つのテーマに沿って、切り口をあらゆる方面で変えて行きながらも、最終的には一つのゴールと習得を目指して学習と授業を行う学習形態・指導メソッドのことを言います。

気づかないうちにこのメソッドになっている英語の先生は日本中にいるよね、というのは、もっぱら仲間内での話題ですが、年間や3年間、6年間、などの中長期のスパンを持って取り組んだり、コンテンツの中身を最大限高めて毎回授業を行えているか、という点においては、まだまだ金の鉱脈が眠っている分野だと僕は思っています。

今はそんなメソッドの流れを深く身体化する研鑽を重ねているのと、できる限り多くのパッケージやスキル、そしてアクティビティを拵えて、幅広く運用されることを目指し、毎晩遅くまで必死にあーでもない、こーでもない、と考えてパソコンに向かう日々です。

*描写から主張へ:音読や暗唱の先にあるもの

生徒たちは毎回、Steve Jobsの教材を使って同時通訳トレーニングを行います。7年前にこの教材を作った時は、ここまでで授業を終えていました。暗唱、英作文、語彙習得のみに主眼が置かれた授業をしていたと記憶しています。

今は、同時通訳トレーニングもきちんとやりこむのですが、それはあくまで授業前半の帯活動でして、その後、そこで音読したりシャドーイングしたりしたものを踏まえつつ、読んだものを描写しながら、自分でお話を再現できるように仕掛けて行きます。この活動をして置かないと、英語できちんと意見を言えるようにはならないんです。



一昔前だったら、無作為かつ無差別に、コンテクストとして背景を同じくしない英文をバラバラに覚えさせて、さぁ話せ、さぁ使え、と指導していましたが、個人にある程度の読解力やメタ認知量がないと、単純暗記、単純暗唱では、異なる情報を組み合わせる情報処理ができず、学習者は不満や困難さを募らせるばかりで、英語を話す活動そのものが億劫に感じるようになってくるのです。ですから、この描写活動を友達とともにやることが、従来型の英語授業における、ドリルや文法演習にあたります。


この活動を2コマほどやったのち、3コマ目で協働学習に入ります。生徒たちに自分の意見を英語で書かせるのですが、個人で書くことは洞察が浅かったりすると、二元論などで終始したり、稚拙な形容詞を使った紋切りロジックに終始してしまう嫌いがありますので、グループで話し合いながら、友達の考えに触れ、それをメモして、自分とはどこが違うのか、共通するところはどこか、お互いの意見が一致するところとお話の核心の共有点は何か、などを話し合い、気づき合って、最終的に自分の意見をまとめる時間をとります。

*ブレインストーミング→ディスカッション→jigsaw法にて新視点
生徒は、一つのレッスン、一つの課、一つの項目を終えた後、教師が意図した文法事項や語彙を身につけることのみならず、それらを駆使して、自分の意見を英語で述べたり、書いたり、人の意見を聞いてディスカッションを重ねたり、グループで情報分析や情報処理を行ったりしていく中で、英語そのもののみならず、広い視野、論理思考、分析力、他人と協働してチームで動くチームワーク、異なる意見を受け入れながら新たな第3、第4の視点を探っていく多様性順応思考を身につけていくことになります。

今週はグループワークと自分の主張を掘り下げて練り上げる活動で終わり、金曜日は週2回の多読の2回目なので、集中して読書に取り組みます。できない子がレベル6や7をニコニコしながら読んでいる姿がとても頼もしく感じます。














先月から、豪州より留学生を迎えており、その子を多読授業へ誘いました。図書館より日本語の絵本を借りてきて、読み聞かせをし、英語で語彙や語感、文化背景の違いを説明しながら過ごしました。生徒たちに混じって日本語の多読を始めたこの子が、帰国する時にどれだけ日本語が身についているか、楽しみになってきました。子供達には、家に眠っている日本語の絵本を持ってきてもらえないか、と依頼をし、待っているところです。

しかし、まさか外国人に日本語の指導をすることになるなんて、思ってもみませんでした。歳をとってくると、いろんな経験をするから、人生、わかりません。

全部が渾然一体となり、後々にジワる授業、それがまさにオーガニックな語学学習であり、多読、アクティブラーニング、スピーキング活動、ライティング活動などを全て機能させようと提起するCLILはその一つの視座の提示なのだと僕は思っています。

ではまた(^-^)

もっとも大いなるもの

単語の綴りを一生懸命練習するけれど、何度も、何度も間違える子がいる。 でも、授業中、何度もうなづきながら説明を聞き、話に耳を傾け、大きな声で歌を歌う。フォニックスの発音を、口を縦横いっぱいに開けて発音する。 oshienと単語テストに書いてきた。oc...