2016年5月7日土曜日

英語で話す:段階を経て徐々に少しずつ

毎回の授業の帯活動では、Oxford Essential Dictionaryを使ったスモールトーク(Q&Aを英語でし合う活動)をしたり、キクタンリーディングを使った早読み競争をしたり、扉の絵を使ったスモールトークなどをさせています。

毎回決まった活動をやることにより、生徒たちに積み重ねで力をつけて行ってもらうのが目的です。

帯活動は、どんなことでもできますが、毎回決まっていること、生徒たちにとってルールややり方が簡単で、かつ時間をそんなに取らなくてもできること、繰り返しができること、バリエーションがあることなどが条件で、生徒たちの様子を見ながら変えています。
Can-Doリストの初稿。まだまだ荒削りですがおおよその目安を作り、同僚と話をし、4月から1ヶ月かけてみてきた子供達の発達段階を加味して、練り直します。

生徒たちに英語で聞く、話す、読む、書く、の順序で英語を体得してもらうことを授業のゴールに据えていますが、到達にはフェイズがあり、今は第一段階「身の回りのことを英語で言う」「ものの名前を英語で言う」など、初歩的なことをどんどん英語で言う段階です。

まずは物の名前を英語で言うことから、好き嫌いなどを経て、調理法などの段階に進みます。簡単なことですが、丁寧にやらないとできるようにならないんです。
その次の段階には、数字を英語で言う、日時を受け答えする、時刻を言う、活動の時刻を言う、カレンダートークをする、などが来ます。

さらには、絵や写真を見て説明をする、まずは見えるものを言い、その後、より細かく詳細まで描写し、さらに感情、理由、原因、などを英語で言う段階に入ります。

その後、漫画を使って、英語で漫画をその場でどんどん説明していく活動をし、さらに絵を見ながらstoryを自分で作っていく練習をします。

その後、簡単なbook reviewや映画の紹介などを英語でできるようにしていき、その後、自分の意見をPREPで述べる練習をします。

まずはPREPの最後のPを省いて、「私はこう思う、理由はこうだ、具体的にはこれとこれ」という3点を英語で簡潔に言える練習を繰り返し、その後、結論のPでは、言い換え表現を用いて繰り返しを避ける練習をさせようと思っています。

描写力をここまで高めていき、その後、自分の意見を言う段階に入ることが高校1年生のゴールだと僕は考えていて、生徒と一緒に授業に取り組んでいます。

グループのディスカッションに入ったり、オーディエンスの前でプレゼンをする段階に入るのはかなり先の話になりますが、この段階を少しずつ経ることにより、生徒たちに徐々にアウトプット力を高めていかせるのが目的です。

帯活動だけではまかないきれないことも含まれていますので、これを教科書を絡めたり、他の教材を用いたりしてやっていきます。子供達は当然試験もありますから、試験のことも当然考えて授業をしなければいけません。

子供達は英語表現という授業の中で英文法をしっかりと学んでいます。コミュニケーション1の授業の中では、文法事項をその都度しっかりと確認し、練習しながら実際の活動と繰り返しリンクして、「頭でわかる」から「体で使える」段階にまで英語を刷り込んでいくことを目的にしています。

子供達が実際に使っているForestという参考書と問題集があるのですが、その目次を見て、年間の「話す」活動と文法事項をどのようにリンクさせていくか、また、英文法の授業だけでは身につかない「英語のロジック」と英文法をどのようにリンクさせていくか、実際のコンテクストを想定して、活動を創っていきます。手間が掛かり、骨が折れますが、これをやらないと、せっかく英文法をしっかり勉強しているのに、それがコミュニケーションの授業や活動とリンクしません。
授業雑記帳に参考書の目次を見ながら活動と英文法をリンクさせるメモ書き。
構文や文法事項はコンテクストの中でどのように使うか、ということがとても大事です。受け身や比較はlayerの視点を伴わないと会話や書き言葉で上手に使えるようにはなりません。

一口に「英語を話す」「聞く」と言っても、段階や様々な仕掛けが必要で、一朝一夕に「はい、これ!」という方法はなく、上記したようなことを丁寧に根気よく活動の中で定着させていかなければいけません。

来週からは"Flip-Talk"の活動を入れていきます。絵を見てQ&Aのセッションをする帯活動です。やり方は簡単で、カラーの絵とパウチの機械、トークの雛形(英語のQ&Aのパターンを印刷したプリント)があれば簡単に活動を行うことができます。20枚準備すれば、40人のクラスでもペア活動で20回活動を行うことが可能です。

活動の多い授業をしていると、行き当たりばったりでやっているのではないか、と思われたりすることもあるのですが、行き当たりばったりで活動をしていたら、子供達はすぐに飽きてしまい、真面目に取り組まなくなってしまいます。

細々とした仕掛けや準備、普段の英文法や英単語の学習とのリンクを深く何度も修正して加味し、少しずつ前に進む、という方法が遠回りでいて、実は一番確実にアウトプット力をつけていくコツなのです。

授業者として、これが実感を伴って理解できるようになるまで、20年掛かりました。all in Englishで授業を始めて4年目になりますが、去年まで考えていたことともまた全く違う次元に来た気がしています。

試行錯誤の連続ですね。でもやるしかないですね、子供達の為ですからね。

あ、今日は同時通訳トレーニングのシャドーイングについて書こうと思っていたんですけれど、帯活動について熱く書いてしまいました。シャドーイングのコツや日本語PREPの練習法などについてはまた体力のあるときに書きます。

書きたいことが山ほどあるけれど、体は一つしかないですね。分身の術があれば良いですが、あれは体が薄まっていけませんね。アニメで子供の頃、忍者が分身の術を使うシーンを見てると、薄く描かれていることがあったのを記憶していますが、あれは生身の人間は割り切れないのだ、ということを暗に示唆した優れた画法だったのでは、と仕事の忙しさの合間に唸ったりしています。

俺、何言ってんだろう笑。

ではまた^^;


★帯活動とは:毎回やるルーティーン活動のこと。広島県の胡子先生がこんな風に呼んでらっしゃることを知り、また、和田玲先生の勉強会「例の会」に参加した時にも、この名前が使われていたので、僕も「帯活動」という言葉を使うようにしています。

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